「白濁セシ蝶」(染上白濁之蝶)
なまめかしく舞ゐ踊る蝶は 張りありかす見えざる意図に掛かり
豔麗地飛舞的蝴蝶 懸掛在其佈下的看不見的意圖上
ふと目がおどろき朦朧なる中 今か今かと蠢き犇めく影が
在雙目忽然驚醒的朦朧之中 望眼欲穿的影子蠢動推擠
なかなかなる偽善の塊 一筋の月明かりのみが
不上不下的極偽善者 在一線月光
差し込む薄暗き部屋にて 唾液に塗れてゆく
所照亮的昏暗房間裏 逐漸佈滿唾液
白濁せし雨に打たれ 羽根は塗れ雁字搦めに藻掻き
被染上白濁之雨洗刷 骯髒的羽翼五花大綁地掙扎
しどけなき敷布に衣類 頬を伝ふ泪の乾きし痕
凌亂地堆放在床單上的衣裳 臉上乾涸的淚痕
纏わり付きし痛みは消えず毟られ舞ふ羽根が…
纏繞之痛不散 被扯下飛舞的羽毛……
ひとつ 悲鳴に拒絶の言葉
一 拒絕悲鳴的話語
ふたつ 屈辱 羞恥 の裏側
二 屈辱 羞恥 的背後
みっつ 快楽に泣きつつも溺れ
三 雖因快樂而哭卻亦沉溺其中
よっつ 其の憎しみ忘るるなかれ
四 毋忘那憎恨
絲轢く指に絡み付きし 悶え軋み揺らめく肢体
纏上拉絲的手指 掙扎摩擦搖動的肢體
擦るる度に薄洩るる吐息 浸食されてゆく
每次摩擦便會輕洩的嘆息 逐漸被侵食
なかなかなる偽善の塊 一筋の月明かりのみが
不上不下的極偽善者 在一線月光
差し込む薄暗き部屋にて 唾液に塗れてゆく
所照亮的昏暗房間裏 逐漸佈滿唾液
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